ヘンショーさんへの手紙 リー・ボッツの日記

B・クリアリー:作
谷口由美子:訳 むかいながまさ:絵 あかね書房

           
         
         
         
         
         
         
    
    

 前編「ヘンショーさんへの手紙」は、二年生の男の子リー・ボッツが、先生の読んでくれた本の作者ヘンショーさんへの手紙を書きます。毎年、数回の手紙をヘンショーさんに書き続けて六年生になりました。
 主人公の両親は離婚し、母親と二人で海辺の町へ引っ越します。母親は食料品店で働き、夜は看護婦の資格を取るため、学校に通っています。リー・ボッツは転校しますが、友達はなく、いつも寂しい思いをしています。ヘンショーさんからの手紙で日記を書くことを勧められ、自分と母親との生活のこと、長距離運転手の父親からの電話を心待ちにしていることなどを書いていくうち、友人バリーもでき、人の心の動きのわかる男の子に成長していきます。
 後編「リー・ボッツの日記」では、二年がたって主人公が高校入学前の夏から一年間を日記に書いています。
 浜辺に置き去りにされた犬をストライダーと名づけて、バリーと共同で飼います。犬を飼うことでバリーとの葛藤(かっとう)、女の子との交際、母親との生活がさわやかに描かれています。
 前編、後編を独立した一冊の本として読んでも十分に楽しめます。
 
(亮)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化山本京子